NIPTの注意点7選|受けてから後悔しないための陽性的中率や施設選び

NIPTの注意点7選|受けてから後悔しないための陽性的中率や施設選び

「赤ちゃんに病気があったらどうしよう」という不安から、NIPT(新型出生前診断)を検討される方は非常に増えています。採血だけで検査ができる手軽さが魅力ですが、実は「受けてから後悔する」ケースも少なくありません。

その原因の多くは、検査の限界や、結果が出た後のことを十分にイメージできていなかったことにあります。せっかく安心のために受ける検査で、逆に不安を大きくしてしまっては本末転倒ですよね。

この記事では、NIPTを受ける前に必ず知っておいてほしい「7つの注意点」と、後悔しないための判断基準を分かりやすく解説します。

目次

NIPT(新型出生前診断)とは?知っておくべき基礎知識

まず、注意点に入る前にNIPTの基本を簡単におさらいしましょう。NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、妊婦さんの血液中に含まれる胎児(胎盤)由来のDNA断片を分析し、赤ちゃんの染色体異常を調べる検査です。

従来の「羊水検査」などはお腹に針を刺す必要があり、流産のリスクがわずかにありました。一方、NIPTは採血のみで行えるため、流産のリスクがなく、母体や赤ちゃんへの負担が極めて少ないのが最大の特徴です。

一般的に妊娠10週0日頃から受検可能で、結果が出るまでは1〜2週間程度かかります。非常に精度の高い検査ですが、あくまで「可能性」を判定するものであり、万能ではないという点を理解しておく必要があります。

NIPT(新型出生前診断)とは?費用や検査時期・認可の違いをわかりやすく解説

【重要】NIPTを受ける前に知っておきたい7つの注意点

NIPTはメリットばかりが強調されがちですが、受検を決める前に以下の7つのポイントを必ず理解しておきましょう。

「確定診断」ではなく「非確定検査」である

最も誤解されやすい点がこれです。NIPTは「陽性(異常の可能性が高い)」か「陰性(異常の可能性が低い)」という確率を出すスクリーニング検査に過ぎません。

もしNIPTで「陽性」という結果が出たとしても、赤ちゃんが100%染色体疾患を持っているわけではないのです。本当に病気があるかどうかを確定させるためには、お腹に針を刺して行う「羊水検査」や「絨毛検査」といった確定診断を受ける必要があります。

「血液検査だけで白黒はっきり分かる」と思って受けると、陽性判定が出た際に大きな混乱を招くことになるため注意しましょう。

年齢によって「陽性的中率」が大きく異なる

検査精度が高いと言われるNIPTですが、「陽性と判定されたときに、本当にその病気である確率(陽性的中率)」は、妊婦さんの年齢によって大きく変動します。

例えば、21トリソミー(ダウン症候群)の場合、40歳の妊婦さんが陽性と判定された場合の的中率は90%以上と高いですが、30歳の妊婦さんの場合は約50〜60%程度まで下がると言われています。つまり、検査で「陽性」と出ても、実際には半分近くの方が「偽陽性(本当は異常がないのに陽性と出る)」である可能性があるのです。

「陽性=確定」ではないという事実を、ご自身の年齢と照らし合わせて理解しておくことが重要です。

参考:出生前検査認証制度等運営委員会

分かる疾患はごく一部に限られる

NIPTで判定できるのは、主に以下の3つの染色体異常です。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトウ症候群)

これらは赤ちゃんの染色体疾患全体の約7割を占めますが、逆に言えば残りの3割の染色体異常や、心臓病などの形態異常、自閉症スペクトラムなどの発達障害は、この検査では分かりません。

認可外施設などでは、全染色体検査や微小欠失検査を行っている場合もありますが、検査範囲を広げれば広げるほど、判定が難しい「判定保留」や、臨床的な意義が不明確な結果が出るリスクも高まります。「NIPTを受ければ全ての病気が分かるわけではない」という認識を持ちましょう。

「陰性」でも100%安心というわけではない

NIPTの陰性的中率(陰性と判定されて、実際に異常がない確率)は99.9%以上と非常に高い精度を誇ります。しかし、医学的な検査に「絶対」はありません。

極めて稀ではありますが、「偽陰性(本当は染色体異常があるのに、陰性と判定される)」のケースもゼロではないのです。また、前述したように対象外の疾患を持って生まれてくる可能性もあります。

検査結果はあくまで一つの判断材料であり、妊娠期間中の定期的な妊婦健診(超音波検査など)をしっかり受けて、赤ちゃんの発育を見守ることが不可欠です。

検査費用は高額で全額自己負担となる

NIPTは健康保険が適用されない「自由診療」です。そのため、費用は全額自己負担となります。医療機関や検査項目によって差はありますが、基本検査(13, 18, 21トリソミー)だけでも10万〜20万円程度かかるのが一般的です。

さらに、もし陽性だった場合に受ける羊水検査には、別途10万〜15万円程度の費用がかかるケースがあります。一部のクリニックでは「羊水検査費用補助」などの保証制度を設けているところもあるため、費用面でのリスクヘッジも事前に確認しておくと良いでしょう。

認可施設と認可外(無認可)施設の違いがある

NIPTを実施している医療機関には、日本医学会が認定した「認可施設(認証施設)」と、それ以外の「認可外施設(非認証施設)」の2種類があります。

認可施設は、検査前後の遺伝カウンセリングが必須であり、小児科医や産婦人科医との連携体制が整っています。かつては「35歳以上」という年齢制限がありましたが、2022年にこの制限は撤廃されました。現在は、カウンセリングを受けても不安が解消されない場合は、年齢を問わず受検が可能となっています。

一方、認可外施設は紹介状なしで受検できる手軽さがメリットですが、遺伝専門医が不在で十分な説明が受けられないリスクもあります。施設選びは、検査の質とご自身の安心感に直結する重要なポイントです。

陽性だった場合の選択をパートナーと共有しておく

最も重要なのが、心の準備です。「とりあえず受けてみよう」と軽い気持ちで受けた結果、陽性判定が出てしまい、パニックに陥るご夫婦は少なくありません。

「もし陽性だったら羊水検査を受けるのか?」「万が一、確定診断でも陽性だったら妊娠を継続するのか、それとも中絶を選ぶのか」。これらの重い決断を、検査結果が出てからの短い期間(中絶が可能な週数には限りがあります)で迫られることになります。

検査を受ける前に、パートナーと「もしもの時」についてしっかりと話し合い、二人の考えを共有しておくことが、お互いを守ることにつながります。

認可施設と認可外施設の違い【比較表】

先ほど触れた施設の種類の違いについて、分かりやすく表にまとめました。ご自身の優先順位に合わせて選ぶ際の参考にしてください。

項目認可施設(認証施設)認可外施設(非認証施設)
遺伝カウンセリング必須(専門医やカウンセラーが在籍)実施していない、または任意の場合が多い
年齢制限2022年に条件付きで撤廃(不安が強い場合は受検可能)年齢制限なし
検査項目基本の3項目(13, 18, 21トリソミー)のみ3項目に加え、性別判定や全染色体検査などが可能
紹介状かかりつけ医の紹介状が必要な場合が多い基本的に不要
陽性時のサポート羊水検査やその後の診療へスムーズに連携施設による(羊水検査は自分で探す必要がある場合も)

しっかりとした説明とサポートを重視するなら「認可施設」、性別を知りたい場合や手軽さを重視するなら「認可外施設」が選ばれていますが、認可外を選ぶ場合は特に、陽性時のサポート体制(羊水検査費用の補助など)が手厚いクリニックを選ぶことを強くおすすめします。

まとめ

NIPTは、赤ちゃんの健康状態を知るための有効な手段ですが、決して「万能な検査」ではありません。受検を検討する際は、以下の点を心に留めておいてください。

  • NIPTは確定診断ではなく、あくまで「確率」を知る検査である
  • 検査で分かる疾患は限定的であり、見逃される病気もある
  • 認可施設と認可外施設には、サポート体制や検査項目に違いがある
  • 陽性だった場合の対応について、パートナーと事前に話し合っておく必要がある

不安を解消するために受けた検査で、逆に深く悩んでしまうことのないよう、メリットだけでなく注意点もしっかりと理解した上で、受けるかどうかを判断してください。

専門的な遺伝カウンセリングを受けることで、自分たちにとってNIPTが必要かどうかが見えてくることもあります。一人で抱え込まず、医師や専門家に相談しながら、納得のいく選択をしてくださいね。

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