妊娠がわかってうれしいはずなのに、「流産したらどうしよう」「赤ちゃんは元気かな」と不安でたまらない。そんな気持ちになるのは、あなただけではありません。妊娠初期は、お腹のふくらみも胎動もなく、赤ちゃんの様子を感じにくい時期です。次の健診までの数週間が、とても長く感じられますよね。
先に結論をお伝えすると、妊娠初期の不安とうまく付き合うためのポイントは次の3つです。
- 流産の多くは赤ちゃんの染色体の偶然の変化によるもので、お母さんの行動が原因になることはほとんどないと知っておく
- 不安の正体を書き出して、「自分にできること」と「どうにもならないこと」を分ける
- できることには手をつけ、ひとりで抱えこまずに相談先を使う
この記事では、日本産科婦人科学会の情報をもとに流産の確率や原因を正しく知り、妊娠初期の不安を少しでも軽くするための考え方と、今できることを紹介します。
妊娠初期に不安になるのは自然なこと
妊娠初期に不安が強くなりやすいのには、いくつかの理由があります。
まず、ホルモンのバランスが大きく変わる時期であることです。妊娠すると体の中のホルモンが急に増え、気持ちが落ちこみやすくなったり、涙もろくなったりすることがあります。つわりや眠気、だるさで体がつらいと、気持ちにも余裕がなくなりがちです。
次に、赤ちゃんの様子が見えないことです。妊婦健診は妊娠初期だと4週間に1回ほど。胎動を感じられるようになるのは妊娠中期以降なので、健診と健診の間は「本当に育っているのかな」と確かめる方法がありません。
そして、インターネットで調べるほど、心配な情報が目に入ってしまうことです。流産の体験談や病気の情報を読んで、自分にも当てはまるのではと不安が大きくなる方は少なくありません。
不安を感じるのは、それだけ赤ちゃんのことを大切に思っているからです。まずは「不安になってもいい」と自分を責めないことから始めましょう。
妊娠初期の流産の確率と原因を正しく知る
不安を大きくしているものの多くは、「よくわからないこと」です。流産について、正しい情報を確かめておきましょう。
妊娠の約15%は自然流産になる
日本産科婦人科学会によると、妊娠の約15%は自然流産になるとされています。流産とは、妊娠22週より前に妊娠が終わることをいい、その多くは妊娠12週未満の早い時期に起こります。
また、流産の確率は年齢とともに上がり、40歳を過ぎると妊娠の40%以上が流産するといわれています。これは、年齢が上がると、受精卵の染色体の変化が起こる割合が高くなるためです。
15%という数字を聞いて、「思ったより多い」と感じた方もいるかもしれません。それだけ流産は誰にでも起こりうることで、特別なことではない、ということでもあります。
早期の流産の多くは赤ちゃん側の染色体の偶然の変化
妊娠12週未満の早い時期の流産で、いちばん多い原因は赤ちゃん側の異常です。流産した組織の染色体を調べると、約80%に異常が見つかったという報告があります。そして、赤ちゃんの染色体の異常は、ほとんどが偶然のできごととされています。
つまり、妊娠初期の流産の多くは、受精した時点でほぼ決まっていて、お母さんが仕事をした、少し重い物を持った、運動をした、といったことが原因になることはほとんどありません。「あのとき無理をしたから」と自分を責める必要はないのです。
ただし、出血やお腹の痛みがあるときは、流産が進みそうな「切迫流産」の可能性もあります。症状があるときは、我慢せずに病院へ連絡しましょう。重労働や長時間労働は避けたほうがよいとされているので、仕事が体にこたえるときは職場と相談してください。
心拍が確認できると、ひとつの山を越えたといえる
エコーで赤ちゃんの心拍が確認できると、その後に流産する可能性は下がるといわれています。心拍の確認は、多くの方にとってひとつの安心材料になります。
とはいえ、心拍が確認できたあとも、次の健診までは不安な日が続くかもしれません。そんなときは、次の章で紹介する方法で、不安と少しずつ付き合っていきましょう。
妊娠初期の不安を軽くする考え方
不安を完全になくすのは難しいものです。それでも、考え方を少し変えるだけで、気持ちが楽になることがあります。
不安を書き出して「できること」と「どうにもならないこと」に分ける
頭の中でぐるぐる考えていると、不安はどんどん大きくなります。紙やスマホのメモに、今気になっていることを全部書き出してみてください。
書き出したら、それぞれを「自分にできることがあるもの」と「自分ではどうにもならないもの」に分けます。たとえば、早期の流産の多くは自分ではどうにもならないものです。一方、葉酸をとる、健診に行く、仕事の負担を減らす相談をする、といったことは自分にできます。できることだけに目を向けると、気持ちが少し落ち着きます。
調べすぎない時間をつくる
不安なときほど、スマホで検索を続けてしまいがちです。でも、ネットの体験談は、心配なことがあった人ほど書きこむ傾向があり、実際より怖い印象を受けやすいものです。
「調べるのは1日15分まで」「夜寝る前は検索しない」など、自分なりのルールを決めておくのもおすすめです。気になることは、メモにためておいて、次の健診で医師や助産師に聞きましょう。
気持ちを言葉にして誰かに話す
不安をひとりで抱えていると、どんどん重くなります。パートナーや家族、信頼できる友人に「実は不安で」と話すだけでも、気持ちが軽くなることがあります。パートナーには、具体的に「話を聞いてほしい」「家事を代わってほしい」と伝えると、協力してもらいやすくなります。
妊娠初期の不安に対して今できること
「何かしていたほうが落ち着く」という方は、次のようなことから始めてみてください。妊娠初期にやることをひとつずつ片づけていくと、気持ちの整理にもつながります。
葉酸をとって、赤ちゃんのためにできることをする
妊娠初期は、赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる神経管がつくられる大切な時期です。厚生労働省は、妊娠初期の妊婦に、ふだんの食事に加えてサプリメントなどから1日400μgの葉酸をとることをすすめています。
毎日のサプリは「赤ちゃんのために今日もできることをした」という小さな安心にもなります。妊娠中向けの葉酸サプリ「mamaru(ママル)」は、葉酸400μgに鉄や乳酸菌も配合した小粒のサプリで、つわりの時期でも飲みやすいように作られています。
赤ちゃんの染色体が気になるならNIPTで確かめる方法もある
「赤ちゃんに染色体の病気がないか心配」という不安が強い方は、NIPT(新型出生前診断)を受けるという選択肢もあります。お母さんの血液を採るだけで、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べられる検査です。
NIPTは、認証施設では妊娠10週ごろから、認証外のクリニックでは妊娠6週や9週から受けられるところもあります。陰性だった場合、調べた病気については可能性がとても低いと考えられるので、安心につながったという方も多い検査です。
ただし、NIPTは希望する人が受ける検査で、陽性だった場合は確定検査が必要になり、新たな悩みを抱えることもあります。受ける前に、結果をどう受け止めるかを夫婦で話し合っておきましょう。クリニックごとの費用や受けられる週数は、次の記事で比べています。
NIPTクリニック比較|平石とラジュボーの費用・週数・保証の違い妊娠6週から受けられ、認定遺伝カウンセラーに検査の前後で無料で電話相談できるのが、NIPT平石こどもクリニックです。「受けるか迷っている」段階から相談できます。
性別判定つきのプランが132,000円(税込)からで、土日も検査ができるのが、青山ラジュボークリニックです。
妊娠初期の手続きをひとつずつ進める
母子手帳の受け取り、分娩する病院の予約、職場への相談など、妊娠初期にはやることがたくさんあります。手を動かしていると不安から気持ちがそれやすく、終わったものにチェックを入れていくと、前に進んでいる実感も得られます。
妊娠初期にやることリスト|心拍確認後から12週までの手続き・検査・葉酸こんなときは早めに病院や相談窓口へ
次のようなときは、次の健診を待たずに病院へ連絡してください。
- 出血がある、出血の量が増えてきた
- お腹の痛みが強い、だんだん強くなる
- 水分もとれないほどつわりがひどい、半日以上尿が出ない
また、不安で眠れない、何も手につかない、涙が止まらない日が続くといったときは、心のケアが必要なサインかもしれません。健診のときに医師や助産師に気持ちを伝えるほか、お住まいの市区町村の保健センター(こども家庭センター)でも、保健師や助産師に妊娠中の悩みを相談できます。妊娠届を出したときに相談先を案内されることも多いので、母子手帳と一緒にもらった資料を見てみてください。
妊娠初期の不安についてよくある質問
つわりがなくなったら流産のサインですか?
つわりの強さや時期には個人差が大きく、つわりが軽い、急に楽になったというだけで流産と決まるわけではありません。ただ、出血や腹痛をともなう場合や、どうしても気になる場合は、病院に相談してみましょう。
運動や仕事をしても大丈夫ですか?
早期の流産の多くは赤ちゃん側の染色体の偶然の変化によるもので、ふだんの仕事や軽い運動が原因になることはほとんどありません。ただし、重労働や長時間労働は避けたほうがよいとされています。体調に合わせて、無理のない範囲で過ごしましょう。
不安で仕事に集中できません。休んでもいいですか?
体調がつらいときは、医師に相談して「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を書いてもらうと、職場に休憩や勤務時間の調整をお願いしやすくなります。事業主には、カードの内容に応じた対応をとる義務があります。
まとめ:不安はひとりで抱えず、できることから
妊娠の約15%は自然流産になり、妊娠初期の流産の多くは、赤ちゃん側の染色体の偶然の変化によるものです。お母さんの行動が原因になることはほとんどないので、自分を責めないでくださいね。
不安を書き出して「できること」に目を向け、葉酸をとる、手続きを進める、気になることを相談する、といった小さな行動を積み重ねていきましょう。赤ちゃんの染色体が気になる方は、NIPTで確かめるという方法もあります。
妊娠初期は、不安と期待が入りまじる特別な時期です。ひとりで抱えこまず、パートナーや家族、病院や相談窓口を頼りながら、少しずつ進んでいきましょう。

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