出生前診断には、NIPT(新型出生前診断)のほかにも、クアトロテスト、コンバインド検査、羊水検査など、いくつもの種類があります。「どれを受ければいいの?」「費用はどれくらい違うの?」と迷ってしまいますよね。
先に結論をお伝えすると、出生前診断は大きく「可能性を調べる検査(非確定的検査)」と「診断を確定する検査(確定的検査)」の2つに分かれます。
- 非確定的検査:NIPT、コンバインド検査、クアトロテスト、胎児超音波検査。お腹に針を刺さないので流産のリスクはないが、結果は「可能性」
- 確定的検査:羊水検査、絨毛検査。診断が確定するが、お腹に針を刺すため、わずかに流産のリスクがある
非確定的検査のなかでは、NIPTの精度がいちばん高く、費用もいちばん高くなります。この記事では、それぞれの検査の時期・精度・費用の違いを一覧表にまとめ、自分に合った検査の選び方を解説します。
出生前診断の種類と費用【一覧表】
主な出生前診断の種類を、時期・わかること・ダウン症候群の検出率・費用でくらべると、次のようになります。費用は、日本医学会の認証施設であるあいち小児保健医療総合センターの例(2024年1月時点)です。
| 検査 | 時期の目安 | 方法 | ダウン症候群の検出率 | 費用の例 |
|---|---|---|---|---|
| NIPT | 9〜10週ごろ〜 | 採血 | 99.1% | 検査料 99,210円(総額 約121,000円) |
| コンバインド検査 | 11〜13週 | 採血+超音波 | 約83% | 検査料 16,840円(総額 約28,000円) |
| クアトロテスト(母体血清マーカー検査) | 15〜18週ごろ | 採血 | 80%程度 | 検査料 16,500円(総額 約22,000円) |
| 胎児超音波検査(初期) | 11〜13週 | 超音波 | 70〜80%(NT+年齢) | 24,870円 |
| 羊水検査(確定的検査) | 16〜17週ごろ | お腹に針を刺して羊水を採る | ほぼ100% | 73,290円〜(別に診察料など) |
※総額は、遺伝カウンセリング料や超音波検査料などを含めた目安で、同センターの資料の記載です。費用は病院によって大きく違うので、受ける病院で確かめてください。
出生前診断は、どれも健康保険が使えず、全額が自己負担になります。認証外のクリニックのNIPTは、調べる項目によって6万円台から30万円ほどまで幅があります。
参考:出生前診断を検討しているご夫婦へ(あいち小児保健医療総合センター)
非確定的検査の種類と特徴
非確定的検査は、赤ちゃんが染色体の病気をもっている「可能性」を調べる検査です。お腹に針を刺さないので、流産のリスクはありません。
NIPT(新型出生前診断)
NIPTは、お母さんの血液に含まれる、赤ちゃんの胎盤に由来するDNAを調べる検査です。採血だけで受けられ、ダウン症候群(21トリソミー)の検出率は99.1%と、非確定的検査のなかでいちばん精度が高いのが特徴です。
認証施設で調べるのは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの3つです。結果は「陽性」「陰性」「判定保留」で知らされ、陽性だった場合は羊水検査などの確定検査が必要になります。認証外のクリニックでは、性別や全染色体、微小欠失なども調べられ、妊娠6週から受けられるところもあります。
NIPTの費用相場については、次の記事でくわしくまとめています。
NIPTの費用相場はいくら?認証施設と認証外の違い・保険や医療費控除コンバインド検査
コンバインド検査は、妊娠11〜13週に、超音波で赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT)を測り、お母さんの血液の成分(PAPP-A、hCG)と組み合わせて、ダウン症候群と18トリソミーの可能性を調べる検査です。
結果は「確率」で示され、基準より高いと「スクリーン陽性」になります。ダウン症候群の検出率は約83%で、NIPTよりは低いものの、費用は2〜3万円ほどと抑えられます。NTの測定には専門の技術が必要なため、受けられる施設は限られます。
クアトロテスト(母体血清マーカー検査)
クアトロテストは、妊娠15〜18週ごろに採血をして、血液中の4つの成分を測り、ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形(二分脊椎など)の可能性を調べる検査です。
費用は2万円前後と、出生前診断のなかでは手ごろです。ただし、ダウン症候群の検出率は80%程度で、スクリーン陽性になった人のうち、実際にダウン症候群だった人の割合(陽性的中率)は、ある調査では約2.2%でした。つまり、スクリーン陽性でも、ほとんどの赤ちゃんはダウン症候群ではありません。
胎児超音波検査
妊娠11〜13週の超音波検査では、NTのほか、鼻の骨や血液の流れなどを詳しく見て、染色体の病気の可能性を推定できます。NTだけでのダウン症候群の検出率は70〜80%ですが、ほかの所見を組み合わせると90〜95%に上がるとされています。
妊娠中期(19〜20週)や後期(28〜30週)の超音波検査では、心臓などの体のつくりや発育を確かめます。ふつうの妊婦健診のエコーとは別に、専門の「胎児ドック」として行っている施設もあります。
確定的検査の種類と特徴
確定的検査は、赤ちゃんの細胞を直接調べて、染色体の病気があるかどうかを確定させる検査です。非確定的検査で陽性やスクリーン陽性が出た場合に受けることが多い検査です。
羊水検査
羊水検査は、妊娠16〜17週ごろに、お腹に細い針を刺して羊水を20mLほど採り、羊水に浮かんでいる赤ちゃんの細胞を調べる検査です。ダウン症候群の検出率はほぼ100%で、診断を確定できます。
ただし、お腹に針を刺すため、約0.3%の流産のリスクがあります。結果が出るまでには、細胞を培養するため2週間ほどかかります。費用は、あいち小児保健医療総合センターでは染色体の検査(G-band法)で73,290円で、別に診察料や超音波検査料がかかります。
絨毛検査
絨毛検査は、お腹や子宮の入り口から器具を入れて、将来胎盤になる組織(絨毛)を採って調べる検査です。羊水検査より早い時期に受けられるのが特徴ですが、行っている施設は限られています。
NIPTで陽性だった場合の確定検査の流れや費用は、次の記事でくわしく解説しています。
NIPTで陽性だった場合どうする?確定診断(羊水検査)の費用やその後の流れクアトロテスト・コンバインド検査とNIPTの違い
「NIPTとクアトロテスト、どっちを受ければいいの?」と迷う方も多いので、3つの検査の違いを整理しておきます。
| NIPT | コンバインド検査 | クアトロテスト | |
|---|---|---|---|
| 時期 | 9〜10週ごろ〜 | 11〜13週 | 15〜18週ごろ |
| ダウン症候群の検出率 | 99.1% | 約83% | 80%程度 |
| 結果の出かた | 陽性・陰性・判定保留 | 確率(スクリーン陽性・陰性) | 確率(スクリーン陽性・陰性) |
| 調べられる病気 | 21・18・13トリソミー(認証外は性別なども) | 21・18トリソミー | 21・18トリソミー、開放性神経管奇形 |
| 費用の目安 | 約10万〜20万円 | 約2〜3万円 | 約2万円 |
いちばん大きな違いは精度です。クアトロテストやコンバインド検査は、スクリーン陽性になっても実際には病気でないことが多く、羊水検査まで進んで「結局問題なかった」となることも少なくありません。NIPTは、陽性のうち実際に病気があった割合が、約10万人の追跡調査で91.0%と高く、確定検査に進むかどうかを判断しやすい検査です。
一方で、費用はNIPTがいちばん高くなります。「費用を抑えたい」「二分脊椎などの神経管の病気も調べたい」という方は、クアトロテストやコンバインド検査が合っている場合もあります。
出生前診断の選び方
どの検査を選ぶかは、何を重視するかによって変わります。目安として、次のように考えてみてください。
- 精度を重視したい・流産のリスクは避けたい:NIPT
- 費用を抑えつつ、可能性を知っておきたい:コンバインド検査、クアトロテスト
- 赤ちゃんの体のつくりも詳しく見てほしい:胎児超音波検査(胎児ドック)
- 非確定的検査で陽性だった・確実に知りたい:羊水検査、絨毛検査
最近は、まずNIPTを受けて、陽性だった場合に羊水検査で確かめる、という流れが増えています。国立成育医療研究センターの研究では、2013年にNIPTが始まってから、羊水検査や絨毛検査は大きく減ったことがわかっています。
NIPTを受けられる施設は、認証施設と認証外のクリニックに分かれ、受けられる時期や費用、陽性のときのサポートが違います。主なクリニックの違いは、次の比較記事でまとめています。
NIPTクリニック比較|平石とラジュボーの費用・週数・保証の違い性別判定つきのプランが132,000円(税込)からで、陽性のときの羊水検査の費用も負担してくれるのが、青山ラジュボークリニックです。
妊娠6週から受けられ、陽性のときの羊水検査・絨毛検査の費用を全額負担してくれるのが、NIPT平石こどもクリニックです。
出生前診断についてよくある質問
出生前診断はいつまでに受ければいいですか?
検査ごとに受けられる時期が決まっています。NIPTは妊娠10週前後から、コンバインド検査は11〜13週、クアトロテストは15〜18週ごろが目安です。陽性だった場合に確定検査を受ける時間も考えると、受けたい検査がある方は妊娠初期のうちに病院へ相談しておきましょう。
出生前診断は医療費控除の対象になりますか?
国税庁は、NIPTなど母体の血液を使う出生前検査の費用は、医療費控除の対象にならないとしています。健康保険も使えないため、全額を自分で用意する必要があります。
出生前診断を受けないという選択もありますか?
もちろんあります。出生前診断は、希望する人が受ける検査です。受ける人の割合は増えていますが、2023年でも妊婦全体の約11.5%で、多くの方は受けていません。夫婦で話し合い、納得できる選択をしましょう。
まとめ:精度・時期・費用で自分に合った検査を選ぼう
出生前診断には、可能性を調べる非確定的検査(NIPT、コンバインド検査、クアトロテスト、超音波検査)と、診断を確定する確定的検査(羊水検査、絨毛検査)があります。
非確定的検査のなかではNIPTの精度がいちばん高く、ダウン症候群の検出率は99.1%です。費用は高めですが、流産のリスクがなく、確定検査に進むかどうかを判断しやすい検査です。費用を抑えたい方は、コンバインド検査やクアトロテストも選択肢になります。
NIPTを考えている方は、受けられる時期や費用、陽性のときのサポートまで比べて、早めに施設を探しておきましょう。

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